左室肥大(LVH)は,高血圧患者における心室性不整脈および心臓突然死の発生率の上昇と関連してきた。 しかし,軽度のLVHを有する無症状の早期高血圧患者において,この関係が存在するかどうかは不明である。 我々は,連続した本態性高血圧患者100人(心エコー検査で軽度のLVHを認めない35人と認める65人)を前向きに検討した。 全員が詳細な非侵襲的不整脈のワークアップを受け,その後,外来高血圧クリニックで3±1年間追跡調査を受けた. 検査した12誘導心電図パラメータはいずれも2つの高血圧群の間で差はなかった。 単純型心室性頻拍の発生率は両群とも同様に低かったが、複雑型心室性頻拍はいずれの群でも極めてまれであった。 信号平均化された心電図パラメータも軽度LVHの存在によって有意な影響を受けることはなかった。 不整脈関連の症状や悪性心室性不整脈の発生は、降圧治療によるフォローアップ期間中、いずれの群でも観察されなかった。 後者では、ベースラインで軽度のLVHを有していた65人の患者においてLVHの退縮が認められた。 外来高血圧患者における軽度のLVHは、付加的な不整脈発生リスクを持たず、適切な降圧療法によりうまく回復し、追加の抗不整脈管理は必要ないと思われる。